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【特定事業所加算】健康診断の要件を満たす4つのポイントと注意点を解説

元山 ゆず香

監修者

介護福祉士

元山 ゆず香

大学を卒業後、特別養護老人ホームにて現場業務に従事。その後、福祉系大手企業に入社し、エリアマネージャーとして、施設介護事業・居宅介護事業・障害福祉サービス事業でのエリアマネジメント・行政対応を経験。また、法人本部に異動し教育部門・監査担当部門の部長を歴任。現在は全国の介護・障害福祉事業所の支援やセミナーの開催、DXO株式会社での介護関連事業の支援などを実施。

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特定事業所加算は、介護保険制度において、介護サービスの質を向上させるために、特定の基準を満たした事業所が受けることができる追加報酬です。

以前は特定事業所加算を受ける事業所は少なくなりましたが、近年は加算を受けるメリットに気づいた事業所が増えて、40%の事業所が取得する加算になりました。特定事業所加算は、加算できる単位が多いことや質のいいサービスをおこなえる証明になることから、これから算定を検討している事業所は多くあります。

しかし、特定事業所加算の算定要件の中にある、全従業員の健康診断をおこなわなければいけないという要件はミスが起こりやすいので注意が必要になります。

年間の中でもミスが起きやすく、夜勤職の介護職員だと健康診断の回数を増やす必要があり、ミスがあれば返還のリスクも抱えています。この記事では、特定事業所加算の要件にある全従業員の健康診断の実施について詳しく解説をしています。事業所を管理されている方は、ぜひ参考にしてみてください。

【訪問介護】特定事業所加算を取得するには全従業員の健康診断が必須

訪問介護事業所において、全ての訪問介護員に対して健康診断を定期的に実施をする必要があります。健康診断については、労働安全衛生法により「健康診断の定期的な実施が必要であること」と義務付けられています。

常時使用する労働者に該当しない訪問介護員も含めて健康診断を実施する必要があるため、出勤日数に関わらず全員が診断を受けなければいけません。

健康診断は1年以内に1回は実施することと、新たに加算を算定しようとする場合は、1年以内に健康診断を実施する計画を作る必要があります。事業所は毎年、受診の時期を定めて計画を立てて健康診断を受ける計画を立てることと、健康診断にかかる費用は事業所が負担しないといけないこともポイントです。

訪問介護員は事業所が実施する健康診断を受けずに、他の医師が実施する健康診断を受診し診断書を提出した場合も、事業所が健康診断を受けたものと取り扱っても差し支えありません。

必要な健康診断の項目については、労働安全衛生法で定められた内容と同様のものになります。

加算算定に必要な記録の例が以下になります。

  • 所属する全ての訪問介護員の健康診断を実施したことが確認できる記録と書類
  • 事業所が費用を負担していることが確認できる書類(医療機関に事業所が支払った健診費用の領収書)
  • 訪問介護員に対しておこなう健康診断の受診に係る案内文

訪問介護の特定事業加算とは

特定事業所加算は、専門性の高い人材の確保やサービスの質の向上に取り組む事業所を評価する制度です。国が定めた要件を満たし、事業所所在地の都道府県や市町村に届け出ることで算定が可能になります。

特定事業加算は、2006年の介護報酬改定で創設された加算でしたが、算定要件の複雑さなどから取得する事業所は少数でした。

現在では加算を取得することで、メリットが多いことを事業所に理解されたことで、近年では全体の40%程度の事業所が加算を取得しています。訪問介護事業所が特定事業所を算定するためには、定期的な健康診断の実施が必要になります。

特定事業加算で健康診断以外の算定要件は以下になります。

  • 訪問介護員等、サービス提供責任者ごとに作成された研修計画に基づく研修を実施する。
  • 利用者に関する情報やサービス提供にあたっての留意事項の伝達などを目的とした会議を定期的に開催する。
  • サービス提供責任者から訪問介護員に利用者の情報やサービス提供に当たっての留意事項を伝達し、介護職員がサービス提供終了後に担当した職員から報告を受ける。
  • 利用者の容体が急変するなどの緊急時に備えた対応方法を事前に明示しておく。
  • 看取り期における対応や体制の構築、看取り期の対応実績も必要です。
  • 中山間地域(山間地、その周辺地域)におけるサービスの提供が求められる。
  • 利用者の状況に応じた訪問介護計画の見直しを随時、見直すことが求められる。
  • 訪問介護士の有資格者の割合が以下のいずれかを満たす必要がある。
  1. 介護福祉士の占める割合が30%以上
  2. 5年以上の実務経験がある介護福祉士、実務者研修修了者、介護職員基礎研修家庭修了者
  • 常勤のサービス提供責任者を配置し、基準を上回る数の常勤のサービス提供責任者を1人以上配置する。
  • 訪問介護員の総数のうち、勤続年数7年以上の占める割合が30%以上が必要。
  • 利用者のうち、要介護4以上日常生活自立度Ⅲ、Ⅳ、M、たんの吸引を必要とする利用者の割合が20%以上が必要。

特定事業所加算で健康診断要件を満たす4つのポイント

特定事業所加算の算定要件を確認しただけでは、健康診断に関する算定要件を理解したことにはなりません。

以下では、健康診断を受診してもらうためのポイントを4つ紹介しています。厚生労働省への質問を元にしているので、ぜひ参考にしてみてください。

1. 非雇用を含む、すべての訪問介護員に健康診断を実施する

特定事業所加算の健康診断では管理者、サービス提供責任者、非雇用を含めた直接介護に関わる全従業員に実施が必要とされています。全ての訪問介護職員に対して毎年1回以上の健康診断をおこなうには、定期的に健康診断を実施する計画を作っておくことが大切になります。

2. 健康診断の費用は事業者が負担する

特定事業所加算は事業者が健康診断の費用を負担する必要があります。訪問介護員が事業者が実施する健康診断を受診できない場合は他の医師による健康診断を受診することでも良いとされています。

訪問介護職員が別の場所で健康診断をした場合は、事業所が費用の負担をおこなわなくても良いとされています。

3. 少なくとも1年以内に1回は実施する

特定事業所における健康診断は少なくとも年に1回のみの実施になります。年に1回とは前回の受診日から365日以内に健康診断の受診が必要です。しかし、自治体によっては年度で確認する場合もあります。

4. 夜勤体制の場合、年2回の実施が必要になる

異常気圧下での業務や深夜労働など健康に対して支障が起こりうる可能性のある業務は特定業務と呼ばれています。

特定業務の中には介護職の夜勤業務も含まれていて、労働安全衛生法では特定業務に該当する労働者については6ヵ月以内に健康診断を受診することを事業所に義務付けています。そのため、介護職の夜勤業務を担う職員は1年に2回の健康診断を受ける必要があります。

健康診断の要件は返還が大きくなりやすいので注意しましょう!

健康診断の要件はシンプルですが、運営指導で指摘された際のリスクが高くなるので注意が必要になります。例えば、他の要件は月ごとに実施することに対して、健康診断は年に1回の実施をしなければなりません。

年に1回の実施ともなると健康診断を受けることを忘れてしまい、特定事業所加算を1年分返還しなければならないこともあります。

健康診断では管理者、サービス提供責任者、非雇用を含めた直接介護に関わる全従業員に実施が必要とされていて、全ての訪問介護職員に対して毎年1回以上の健康診断をおこなうには、定期的に健康診断を実施する年間計画を作っておくとリスク回避にも繋がります。

特に夜勤体制の場合は年に2回の健康診断も義務付けられているので、6ヵ月に1回は必ず受診できる体制を作っておくことも大切です。特定事業所加算を取得することで、メリットも多くあることも確かです。定期的な会議などをおこなう必要があるため、必然的に高い支援サービスを提供することもできるようになり、地域での認知度も高くなる傾向です。

そして、従業員の健康状態もしっかり管理しておくことで支援の質も向上させるようになり、従業員も安心して働くようになるので、しっかりルールを理解しておくことが大切です。

この記事で紹介した4つのポイント以外にも、注意しなければいけない運用ルールがありますので、不安と思う方は以下のよくある質問の資料も参考にしてみてください。

健康診断の受診に関するよくある質問を徹底解説!

特定事業所加算の算定要件を満たすためには、職員に対して定期的な健康診断を受診させる必要があります。

しかし、ただ受診させるだけではよいというものではなく、ルールに従って受診しなければ指摘の対象となってしまうことも...。

そこで本資料では、実際によくいただく質問をもとに、注意すべき点をわかりやすく解説します。
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