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近年、訪問介護業界では人手不足の深刻化が進んでいます。そのため、介護職員の数が足りず業務の効率化が急務となっています。そこで注目されているのが訪問介護現場でのIT技術の活用です。
この記事では、介護業界のIT化するメリットや、介護現場で活用できるIT技術など成功させるためのポイントについて解説をしています。
これから、事業所にIT化を取り入れようとする事業者の方は、ぜひ参考にしてみてください。
介護業界でよく使われる「介護IT化」は、介護現場にIT技術を導入することを言い、訪問介護の現場にもIT化は取り入れられています。
訪問介護の現場でもITやICTやIoTはいずれもよく使われており、意味は以下になります。
この記事では、現場に導入する機器を「ICT機器」、機器導入で業務改善を図ることを「IT化」と記載しています。
訪問介護の現場でIT化をすることで簡素化される業務について解説します。
訪問介護の実施記録のIT化では、パソコンやタブレットやスマホなどのデジタル端末で記録する方法があります。
最近では、アプリなどを使って簡単に記録することができます。アプリの操作はフォーマットに従って記録するだけの簡単な操作になるので、時間の短縮が可能です。
シフトの管理はアプリやツールを使用を利用することで、スタッフの希望休やスキル、勤務条件などを考慮して最適なシフトを自動的に組み立てることができます。
アプリ上でもシフトの共有ができるので、出勤せずともシフトが提出できますし、シフトが公開されたら、すぐに自分のシフトを確認できます。
アナログな方法の方が慣れていて楽と感じる方も多いですが、書く、消すなどの過程が短縮できるのが強みの一つです。
急なスケジュール変更があっても、サービス提供責任者はスマホやタブレットからスケジュール調整をおこなうことができるので自宅や出先でも状況を確認しやすいので、対応が楽になります。
訪問介護でのITによる情報共有は職員のコミュニケーションの円滑化にもなり、サービスの向上にも繋がります。
他にも、訪問介護をしている職員との連絡もスピーディになり、アクシデント対応も素早く対応ができるようになりました。
既読機能により情報伝達が可視化され、確実に情報が届いているかの確認も簡単になった事例もあります。
スマートフォンを普段使っていない60代の職員からの反発もあったが、練習期間を経てすぐに慣れてくれ、書類作成や管理にかかる人件費がかからなくなりました。
普段から使っていた用紙代、印刷代がかからなくなったことにより、年間158万円のコストカットに成功した事例もあります。
訪問介護業界に限らず、IT化を進めていくことで多くのメリットがあります。
以下では、訪問介護業界でIT化を進めることで得られる3つのメリットに関して、詳しく解説をしていますので、ぜひ参考にしてみてください。
データ化した介護記録が家族や関係者間で円滑に情報共有されれば、介護施設入居者の状態に沿ったサービスなどの提案がしやすくなります。
利用者のバイタルデータや介護記録などがクラウド上に記録されていれば、時間や場所も問わず情報を知ることができます。
ITの導入により、事務作業やルーティンワークの簡素化や削減が実現されれば、職員が介護業務に多くの時間をあてられることはメリットの一つです。
情報共有の円滑化は介護施設以外の病院やご家族との連携もスムーズになります。
これまでの情報共有は巡回やFAXでおこなっていたコミュニケーションでは、情報共有にタイムラグが生じていましたが、ITツールのチャットシステムを活用することでリアルタイムでの情報共有も可能になります。
介護現場では、事務作業やルーティンワークなどの業務をほぼ手作業でおこなっているので、一人あたりの業務負担量は多い傾向にあります。
作業量も多く慣れればヒューマンエラーも起きやすく作業効率も良いとは言えません。こうしたアナログ業務をIT化することで、業務の簡素化、効率化が実現されて職員の労働負担は軽減されます。
生産性向上により無駄な残業をなくすことで、人件費の削減にも繋げることも可能になります。
訪問介護のIT化は介護業界をより良くするものになりますが、IT化を阻む要因が大きく分けて3つあります。
以下では、要因について詳しく解説をしていますので、ぜひ参考にしてみてください。
訪問介護記録には利用者の個人情報が多く含まれているため、万全なセキュリティ対策が含まれているシステムの導入が不可欠です。
メーカーによってはヘルパーさんの端末アプリから全ての利用者の個人情報やサービス履歴が閲覧できる仕組みになっている場合があります。
そのようなシステムだと万が一の場合の情報漏洩のリスクがあるのでIT導入には注意が必要です。
ITツールの導入には費用コストの問題もあります。近年の介護業界でも物価高騰などにより、経営状況が難しい事業所が増えています。
このような経営状況の中で、人材を確保するためには人件費を削ることはできず、ITコストを捻り出すことは困難な場合もあります。
その場合は、国や行政がIT化に対する補助金なども用意されているので、利用する事業所も多いです。
職員のなかには、ITツールに苦手意識を持つ人もいます。その場合は、販売元の会社にも協力してもらい、使用方法をわかりやすく示したマニュアルを作成したり、使用方法や情報交換を目的とした会議をするなどの工夫も必要です。
職員全員が使用方法を習得するまで、時間をかけて指導をすることも大切です。
訪問介護のIT化を上手く進めるためには3つのポイントが重要になります。以下では、3つのポイントについて解説をしていますので、ぜひ参考にしてみてください。
IT導入補助金とは、ITツールの導入経費の一部を補助する支援金になります。対象となるツールはパソコンやタブレット、プリンターなどの複合機やソフトウェアなどになります。
初期費用が補助金で軽減されれば、IT導入のハードルが下がり、導入しやすくなります。
IT導入補助金は返金不要の資金なので、要件に該当する場合は積極的に活用することをオススメします。
ITに不慣れな年配の職員も多いので、セキュリティ対策の講習をおこなっても、全てを理解し実践できるかは不透明です。
そのため、コミュニケーションツールを導入する際は、以下の機能があると安心です。
このようなセキュリティ対策がしっかりされているITツールを選ぶことで、安心してIT化を進めることができます。
介護現場では、スタッフのITリテラシーにもばらつきがあるので、複雑な操作を必要とするシステムは逆に非効率になります。
そのため、初心者でも簡単に操作できるシステムがオススメです。
具体的には、スマートフォンなどクリックやタッチだけで操作できるものだと、デジタル機器に不慣れ職員でも短期間で習得でき、介護現場全体の生産向上に繋げることが可能です。
訪問介護のIT化を進めることでペーパーレス化による情報共有の円滑化、介護の質の向上にも繋げることが期待されます。
しかし、職員へのシステムの指導の難しさや、情報漏洩のリスクなどの課題もあります。
IT化を進めるためには初心者でも使いやすく、セキュリティ対策がしっかりされているシステムがオススメになります。
業務効率化や人件費の削減にも大きく関わる訪問介護のIT化は今後、どんどん進んでいくことになるでしょう。