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障害福祉サービス等報酬と計算方法は?仕組みや請求の流れについて詳しく解説!

元山 ゆず香

監修者

介護福祉士

元山 ゆず香

大学を卒業後、特別養護老人ホームにて現場業務に従事。その後、福祉系大手企業に入社し、エリアマネージャーとして、施設介護事業・居宅介護事業・障害福祉サービス事業でのエリアマネジメント・行政対応を経験。また、法人本部に異動し教育部門・監査担当部門の部長を歴任。現在は全国の介護・障害福祉事業所の支援やセミナーの開催、DXO株式会社での介護関連事業の支援などを実施。

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令和6年4月に障害福祉サービス等報酬改定がおこなわれ、全サービス対象の報酬改定項目が決まりました。障害福祉サービス等報酬は、サービスの質を確保しつつ、報酬の公平性を考慮して設けられています。

今回は報酬改定項目を確認する前に改めて、障害福祉サービス等報酬の基本から請求の流れまで詳しく解説していきます。

障害福祉サービスの報酬とは?

障害福祉サービスは障害福祉サービス事業所が利用者に提供したサービスの対価として受け取るお金のことです。報酬には3種類あり、基本報酬、加算、減額となります。それぞれ解説していきますので参考にしてください。

基本報酬とは

基本報酬は、各障害福祉サービスにおける報酬の基盤となります。利用1日ごとに給付の単位が設定されています。基本報酬は、事業所の定員数や職員体制、サービスの実績などの基準に基づいて段階的に設定されているのが特徴です。その為、事業所が提供するサービスの内容や質、体制によって、同じ種類のサービスでも報酬が異なります。

特に近年では、サービス提供の手厚さや実績の高い事業所に対して、より高い報酬が割り当てられる傾向が強まっています。これにより、事業所間でサービスの質を競い合う環境が促進され、利用者にとっても手厚い支援を受けられるようになります。

基本報酬は障害福祉サービスの運営や質向上を担う重要な役割を担っており、事業所にとっても重要です。

加算とは

加算は職員の配置とサービス提供に対する要件を満たした場合、基本報酬に上乗せ分の報酬ができることです。その為、基本報酬と合わせて算定が可能です。

加算には専門職員の配置や送迎など様々な種類があり、該当する利用者だけに上乗せできる報酬と利用者全員に上乗せする報酬など形式もいくつかあるので柔軟に対応できるのが特徴です。

減算とは

減算は障害福祉サービスを提供する事業所が事業上のルールを満たさない場合、基本報酬が減額されることです。

減算には人員配置基準に関する減算が多いため、事業所での管理をしっかりおこなう必要があります。令和6年の報酬改正では、より具体的な条件が設けられ、減算割合が増加傾向にあるので注意が必要です。

障害福祉サービス等報酬の計算方法や仕組みは?

障害福祉サービスの報酬は、金額ではなく「単位数」で設定されています。同様に、就労移行支援事業の基本報酬は、利用者1人につき最大1,210単位/日となります。報酬金額は、単位数に地域ごとの定められた1単位の基準をかけて算出します。仕組みとして、地域ごとの人件費やコストの違いを考慮したものです。

ただ、療養介護の事業所の場合は地域区別が適用されず、単位数に固定の10円を掛けて報酬金額が決まります。このように、報酬の計算方法はサービスの種類や地域によって異なります。

報酬の計算式

算定する単位数* × 地域ごとの1単位の単価(地域区分) × 報酬の総額

*基本報酬に加算・減算を加味したもの

障害福祉サービス等の請求の流れ

障害福祉サービスを提供する事業所は、給付費等の9割を国保連合会児童市町村に請求し、審査・支払いをおこないます。請求期間は毎月1日から10日までと決まっているため、期限内に手続きをおこなう必要があります。

残りの1割は利用者に請求しますが、利用者の収入状況などに基づいて負担上限額が4段階に設定され、負担上限額を超える部分に関しては、事業所が国保連合会に対して追加で請求できます。

利用者負担軽減と事業所の安定した運営の両立を図るために、国保連合会を介した請求・支払いの仕組みが整備されています。以下では請求の流れについて詳しく解説しますので、参考にしてください。

1.受付・契約

利用者との契約締結時に新規契約や契約変更があれば「契約内容報告書」を福祉事務所へ提出します。

また上限額管理対象者の場合、上限管理事業者や負担額報告事業者を障害福祉サービス受給者証で確認する必要があります。

2.障害福祉サービスの提供

個別支援計画等に従って、障害福祉サービスの提供をおこないます。

3.上限額管理業務をする

上限額管理対象の利用者がいる場合、サービス提供終了後、関係事業所と連携して利用者負担額の確認や調整をおこないます。

関係事業所

関係事業所では、上限額管理対象者の「利用者負担額一覧表」を上限額管理事業所に提出する必要があります。その月のサービス提供が終了から次のサービス提供翌月3日までを目安に「利用者負担額一覧表を提出します。

上限額管理事業所

関係事業所から提出された「利用者負担額一覧表」に基づき、該当利用者が各月に支払う利用者負担額が負担上限月額を超えないよう調整します。サービス提供翌月6日までを目安に「利用者負担上限額管理結果表」を関係事業所に送付します。

4.請求データを作成する

その月のサービス提供が終了後、以下2つの請求データを作成します。

  • 介護給付費・訓練等給付費等請求書、明細書
  • 実績記録表

5.請求データを作成する国保連へ請求する

請求データを作成後、毎月1日から10日までの間に国保連へインターネットで送信します。

6.利用者宛の請求書を作成する

介護給付費・訓練等給付費等明細書作成の際に利用者の負担額も記載していますので、その金額の請求書を利用者宛に作成します。

支給対象外のサービス利用がある場合は、その分の明細を別途作成し、利用者へ障害福祉サービス支給対象の利用分と合算するもしくは別々に請求します。

7.国保連から支払いを受ける

サービス提供月の翌々月中旬から下旬に、国保連より支払を受けます。

まとめ

障害福祉サービス等の報酬は、基本報酬、加算、減算の3つで構成され、金額ではなく「単位数」で設定されています。毎月1日から10日の期間に国保連へ請求し、9割が審査・支払いを受けられます。

利用者の1割については状況に応じた負担上限額が設定されており、超過分は追加で国保連合会へ請求できる仕組みなので安心ですね。

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