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【特定事業所加算】定期的な会議開催の算定要件を満たすためには?開催方法や議事録の様式例も解説

元山 ゆず香

監修者

介護福祉士

元山 ゆず香

大学を卒業後、特別養護老人ホームにて現場業務に従事。その後、福祉系大手企業に入社し、エリアマネージャーとして、施設介護事業・居宅介護事業・障害福祉サービス事業でのエリアマネジメント・行政対応を経験。また、法人本部に異動し教育部門・監査担当部門の部長を歴任。現在は全国の介護・障害福祉事業所の支援やセミナーの開催、DXO株式会社での介護関連事業の支援などを実施。

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特定事業所加算を算定するためには、定期的な会議を開催する必要があります。しかし、開催する頻度や会議の内容に関する細かいルールも多く、特定事業所加算を算定することに不安を抱えている施設管理者も多いのではないでしょうか。

この記事では、定期的な会議の開催に関する細かい条件についてわかりやすく解説します。この記事を読むことで、会議の開催方法だけでなく、議事録の様式例や実地指導時に注意すべきポイントもわかります。

特定事業所加算の取得には会議の定期的な開催が必要

特定事業所加算とは、サービス品質の高い訪問介護事業所や重度者へ対応できる訪問介護事業所が算定できる加算です。特定事業所加算には、(Ⅰ)〜(Ⅴ)の5種類があり、それぞれ算定要件が異なります。

12項目ある特定事業所加算の算定要件のうち、すべての特定事業所加算で求められる要件のひとつが「定期的な会議の開催」です。そのため、これから特定事業所加算を算定する訪問介護事業所は、定期的な会議に関する細かいルールについて正確に理解しておく必要があるでしょう。

その他、特定事業所加算の算定要件については、以下の記事にまとめています。特定事業所加算の算定要件について詳しく知りたい方はこちらをご参照ください。

訪問介護における特定事業所加算の算定要件とは【令和5年最新版】

定期的な会議の開催をおこなう目的は?

特定事業所加算の算定に必要な定期会議は、2つの目的を達成するために開催しなければいけません。

2つの目的とは、「利用者に関する情報とサービス提供時の留意事項を伝達するため」または「訪問介護員等の技術指導のため」です。このどちらかを達成するために開催された会議でなければ、特定事業所加算の算定要件を満たせないため注意しましょう。

ここでは、定期会議を開催する目的について、具体例を交えつつ詳しく解説します。

利用者に関する情報とサービス提供時の留意事項を伝達するため

定期的な会議を開催する目的のひとつは、利用者に関する情報とサービス提供時の留意事項を伝達することです。

利用者の体調や住環境の変化など、訪問介護職員全体で把握しておかなければいけない情報を共有するための場として活用します。

例えば、毎月1回の会議を開催する中で、利用者に関する情報を伝達する時間として確保することも可能です。その時間内で、サービス提供責任者から各訪問介護職員へ、各利用者の留意事項などの情報を伝達します。

ただし、会議中に伝達した留意事項や情報は議事録に残しておきましょう。

訪問介護員等の技術指導のため

訪問介護員等の技術指導を目的として、定期的な会議を開催することも可能です。

サービス提供責任者が主催した定期会議には、すべての訪問介護員が参加する必要があります。そのため、サービス提供責任者が必要と判断した研修を定期会議の中で開催し、全訪問介護職員の技術向上を図ることも可能です。

例えば、毎月する定期会議の中に、毎回30分の研修時間を設けて、月毎にテーマの異なる研修を開催しても問題ありません。また、職員の技術向上を目指した研修を実施する会議と利用者の留意事項を伝達するための会議を交互に開催する方法もあります。

会議の目的を決定する際には、各事業所の実態に合わせて、目的を柔軟に変更させるとよいでしょう。

算定要件を満たすための会議開催時のポイント

定期会議を開催する際には、会議を開催する頻度や開催方法について、注意すべきポイントがあります。注意点を理解しないまま会議を開催すると、運営指導時に「特定事業所加算の算定要件を満たしていない」と判断される可能性もあるでしょう。ここでは、定期会議を開催する際に注意すべきポイントについて解説します。

おおむね月に1回以上の会議を開催する必要がある

原則として、定期的な会議は毎月1回以上開催する必要があります。また、月に1回以上であれば、何回開催しても問題ありません。

例えば、月に1回の会議内で、利用者の留意事項を共有する時間と訪問介護員向け研修の時間を確保する方法もあります。また、月に2回の定期会議を開催し、1回は利用者の留意事項を共有するための会議で、もう1回は訪問介護員向け研修を実施する会議として開催することも可能です。

各事業所の実態を考慮して、毎月1回以上の定期会議を開催できるように計画を立てましょう。

全員集まれない場合は複数回の開催も可能

特定事業所加算の算定要件である会議には、すべての訪問介護員が参加しなければいけません。仮に、参加していない訪問介護員が議事録を確認したとしても、会議の場に参加していなければ、要件を満たしたことにはならないため注意しましょう。

しかし、毎月開催する会議に、すべての訪問介護員が同時参加できない事業所もあります。その場合、サービス提供責任者ごとにいくつかのグループに分けて開催することも可能です。

例えば、定期会議で「排泄介助に関する研修会」を開催したとします。しかし、勤務の都合で約5名の訪問介護員が参加できませんでした。この場合、後日参加できなかった5名の訪問介護員を集めて「排泄介助に関する研修会」を再度開催することも可能です。

定期会議は1月で何回開催しても問題ありません。同じ日に訪問介護員の全員が参加できないとわかっている場合、あらかじめ複数回開催することを予定して、参加可能な日に参加してもらってもよいでしょう。

会議の議事録は必ず残す

特定事業所加算を算定している事業所は、運営指導時に定期会議の議事録を確認されます。会議の内容は、必ず議事録に残して保管しておきましょう。

定期会議は、すべての訪問介護員が参加する会議です。そのため、不参加者が議事録で会議内容を確認することはありません。一部の職員が、「定期会議は全員参加だから議事録は不要だ」と誤って理解している可能性もあります。

運営指導時に、定期会議の議事録が確認できないと「会議を開催していなかった」と判断される可能性もあります。確実に議事録を残して保管するように、職員にも呼びかけておきましょう。

オンラインでの会議開催も可能

毎日の業務がある中で、すべての訪問介護員を集めて、定期的な会議を実施できない事業所も多いでしょう。そこで、前回の介護報酬改定によって、定期会議の開催方法としてテレビ電話等のICTの活用が可能となりました。

テレビ電話等を活用すれば、訪問介護員がどこにいても会議に参加できるため、定期会議を開催しやすくなります。ただし、定期会議の内容を録画して視聴するだけでは「要件を満たしていない」と判断される可能性もあるため注意しましょう。

訪問介護員のスケジュール調整が困難な訪問介護事業所は、オンラインでの定期会議開催をおすすめします。

特定事業所加算の算定要件を満たすための会議の議事録例

定期的な会議で使用する議事録について、厚生労働省から詳細な様式等は示されていません。そのため、各事業所で独自に議事録を作成する必要があります。

しかし、独自に議事録を作成した結果、運営指導時に記録の不備等で注意を受ける可能性もあるでしょう。

今回、豊中市が公開している資料「居宅介護支援における特定事業所加算に係る留意事項について 」から、定期会議に利用できる議事録の事例をご紹介します。

引用:豊中市「居宅介護支援における特定事業所加算に係る留意事項について 」

上記の様式は、居宅介護支援事業所の特定事業所加算算定時に利用できる様式です。そのため、訪問介護で利用する際には、若干内容を変更しなければいけない点にはご注意ください。

定期会議の議事録に記載すべき項目は以下の5点です。

  • 開催日時
  • 開催場所
  • 主催者
  • 出席者
  • 会議の内容等

また、議事録の記録方法等は各自治体によって異なる可能性もあります。可能であれば、各自治体の窓口で相談しながら議事録の様式を作成するとよいでしょう。

参考:豊中市「訪問介護における特定事業所加算に係る留意事項について 」

会議の開催におけるよくある質問を厚生労働省のQ&Aから紹介

定期会議を開催する際には、厚生労働省が公開しているQ&Aも参考にするとよいでしょう。Q&Aでは、認知症専門ケア加算における研修との関係性や算定要件が満たされなくなる条件などが記載されています。ここでは、厚生労働省が公開しているQ&Aの内容について詳しく解説します。

認知症専門ケア加算の会議と同時開催が可能

厚生労働省の資料「令和3年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.4)(令和3年3月29日)」では、以下の内容が提示されています。

認知症専門ケア加算

問 36
認知症専門ケア加算における「技術的指導に係る会議」と、特定事業所加算やサービス提供体制強化加算における「事業所における従業者の技術指導を目的とした会議」が同時期に開催される場合であって、当該会議の検討内容の1つが、認知症ケアの技術的指導についての事項で、当該会議に登録ヘルパーを含めた全ての訪問介護員等や全ての従業者が参加した場合、両会議を開催したものと考えてよいのか。

(答)
貴見のとおりである。

引用:厚生労働省「令和3年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.4)(令和3年3月29日)」

認知症専門ケア加算を算定している場合、認知症専門ケア加算の算定要件である「技術的指導に係る会議」を開催する必要があります。

厚生労働省のQ&Aによると、特定事業所加算と認知症専門ケア加算を同時に算定している事業所が、定期会議として認知症に関する内容を実施した場合は、両方とも会議を実施したと判断しても問題ないようです。

認知症専門ケア加算を実施している事業所が、これから特定事業所加算を算定する場合は理解しておきましょう。

算定要件は毎月満たしていなければいけない

厚生労働省の資料「平成18年4月改定関係Q&A(2)」では、以下のQ&Aが記載されています。

訪問介護

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訪問介護における特定事業所加算の算定要件については、毎月満たしていなければならないのか。また、要件に該当しないことが判明した場合の取扱いはどのようになるのか。

(答)

基本的には、加算取得の届出後についても、常に要件を満たしている必要がある。要件に該当しないことが判明すれば、その時点で廃止届出を出し、翌月分から算定しない取扱いとする。

引用:厚生労働省「平成18年4月改定関係Q&A(2)」

特定事業所加算を算定している事業所は、毎月算定要件を満たしている必要があります。仮に、定期会議を開催できなくなった場合、その時点で廃止届出を提出され、翌月分から特定事業所加算を算定できなくなるため注意しましょう。

運営指導で確認される書類

特定事業所加算を算定している事業所は、運営指導時に必要書類を提出し、算定要件を満たしているか指導担当者にチェックされます。

運営指導時に求められる書類は各自治体で若干異なりますが、定期会議に関しては以下の書類を要求される場合が多いようです。

運営指導時に確認される書類

  • 年間の会議予定
  • 議事録
  • 実績がある場合は資料、参加表等の実施と全員参加したことがわかる書類

運営指導時に確認しておくべきポイント

運営指導時には、必要書類に記載されている内容にも注意しなければいけません。特に注意しておくべきポイントは以下の4点です。

  • 会議目的が利用者に関する情報、サービス提供にあたっての留意事項の伝達、当該指定訪問介護事業所におけるヘルパー等の技術指導になっているか
  • 少なくとも月に1回以上開催しているか
  • 所属する全従業員が参加しているか
  • 会議の詳細が記載された議事録が残っているか

会議を開催する目的や頻度などの細かい内容も確認されます。この記事で解説したポイントを参考に、書類を確認するとよいでしょう。

まとめ:特定事業所加算の算定には定期的な会議が必須

今回は、特定事業所加算の算定要件である「定期的な会議の開催」について詳しく解説しました。

定期的な会議は、すべての特定事業所加算において求められる算定要件です。これから特定事業所加算を算定する訪問介護事業所は、必ず細かいルールを確認しておきましょう。

定期的な会議は、利用者に関する情報や留意点の伝達または訪問介護員の技術向上を目的として開催しなければいけません。また、おおむね1ヶ月に1回以上の会議を実施し、全職員が参加する必要があります。

全員の同時参加が困難な場合、複数回に分けて開催したり、オンラインで開催したりなどの方法で対応することも可能です。

特定事業所加算を算定するためには、毎月算定要件を満たしている必要があります。そのため、毎月開催する定期会議は、特に重要な算定要件といえるでしょう。

しかし、定期会議を毎回企画するほどの余裕がない訪問介護事業所も多いのではないでしょうか。その場合は、加算算定を補助してくれる外部のサービスに依頼する方法もおすすめです。

業務を圧迫しない程度に無理のない定期会議を開催し、特定事業所加算を算定し続けられるようにしましょう。

お役立ち資料:加算取得を目指す方へ

特定事業所加算における定期会議の目的や要件、実地指導での指摘事例について、詳しくまとめました。
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