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解釈通知とは?適用しなかった場合のリスクや確認方法を紹介

元山 ゆず香

監修者

介護福祉士

元山 ゆず香

大学を卒業後、特別養護老人ホームにて現場業務に従事。その後、福祉系大手企業に入社し、エリアマネージャーとして、施設介護事業・居宅介護事業・障害福祉サービス事業でのエリアマネジメント・行政対応を経験。また、法人本部に異動し教育部門・監査担当部門の部長を歴任。現在は全国の介護・障害福祉事業所の支援やセミナーの開催、DXO株式会社での介護関連事業の支援などを実施。

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介護保険事業所を運営する上で、欠かせないのが解釈通知の理解です。事業所の運営が、解釈通知の内容に反していた場合、知らなかった、で済ますことのできない重要な文書です。

この記事では、解釈通知の概要、適用しなかった場合のリスク、確認方法について詳しく解説します。

介護保険における解釈通知とは

介護保険における解釈通知とは、介護サービスの具体的な運用方法を示すために発行される厚生労働省による公式文書です。介護保険には介護保険法や各サービスの運営基準など、厚生労働省が示すルールがあります。ただし、これらの法律や基準は、具体的ではなく、現場レベルでの運用方法や禁止事項などを共有することができません。

そこで厚生労働省が発行しているのが解釈通知です。具体的な現場での運用方法についてかみ砕いて解説した文書です。これをもとに、事業所は法律や告示の内容を正確に理解し、実際の事業所運営に反映することができます。

つまり、解釈通知は法律や基準を補完するもので、具体的な運用方法や手続きについての説明書です。例えば、加算要件に関しては実際にどのような記録を残すべきか、どのタイミングで提出が必要かなどが解釈通知で詳述されています。これをもとに、事業所が適切に対応できるように作られています。

特に報酬改定時には、大きなルール変更が伴います。追加された加算の算定方法や、要件などを明確にした解釈通知が数多く発出されます。

解釈通知を適用しなかった場合のリスク

解釈通知を適用しなかった場合はどうなるか、2つの重大なリスクを解説します。

行政指導を受ける可能性がある

ひとつは行政指導を受ける可能性についてです。適切な事業所運営をおこなわなかったとして、事業所を管轄する都道府県もしくは市町村から行政指導が下る可能性があります。行政指導には、指導・勧告・助言など、その重大性によってレベルの違いがあります。

もし、解釈通知を意図的に無視していた場合や悪質な違反があった場合などは、重大なペナルティが課される可能性があります。

さらに、解釈通知を軽視することは、単なる運営上の問題にとどまらず、利用者との信頼関係にも影響を及ぼす可能性があります。また、地域における信頼を失うこともあり、場合によっては事業所の存続に関わる可能性もあります。

不正請求の対象となる恐れがある

解釈通知を適用しなかった場合、不正請求として指摘される可能性もあります。基本報酬や加算など、算定要件などのルールに適合していなかった場合、報酬の返還を求められます。

解釈通知は、法律ではなく通知であり、必ずしも法的拘束力を伴うものではありません。ただし、介護保険の運用上では事業所が遵守しなければいけないルールとして、厳格に取り扱われるため、注意が必要です。

以上の2点からもわかる通り、解釈通知の理解不足は事業所にとって大きなリスクとなります。これは、幹部職員や管理者だけが知っていればいい、というものではありません。現場レベルが正しく解釈通知を理解していなければ、誤った解釈で運用してしまう可能性があります。

実務に関係する解釈通知に関しては、ミーティングや研修などの場を通して全職員に周知する機会が必要です。

解釈通知を理解できないときの対処法

解釈通知は現場での運用を想定して作成されたものですが、内容が複雑なものも多く、簡単に理解できるものとは限りません。解釈通知を理解できないときにはどうすべきか、2つの方法があります。

市区町村の介護保険担当課に相談する

ひとつは市区町村の介護保険担当課に相談することです。介護保険を運用するのは保険者である市区町村です。解釈通知について不明点を確認し、疑問を解消することができます。

また、市区町村によって制度の運用方法・解釈が異なる場合もあります。このような地域の状況に応じた運用もローカルルールとして認められているため、市区町村に確認するのが最も正確です。毎年事業所を対象に市区町村が開催する集団指導講習会の場で、解釈通知の説明があります。集団指導講習会には必ず出席しましょう。

運用方法などについて質問する場合、その方法は市町村によって異なります。電話での相談を受け付ける市区町村や、FAX・メールでなければ受け付けない市区町村など、地域によってそれぞれ異なります。返答に時間がかかる場合もあるので、早めに確認するといいでしょう。

介護報酬改定に関するQ&Aを確認する

報酬改定の解釈通知で理解できない場合、厚生労働省発行のQ&Aで解決できることがあります。

解釈通知では解消されない疑問やレアケースなどについて、厚生労働省ではQ&Aを発行しており、より具体的な解釈を示すことがあります。解釈通知をさらに補足する内容となっており、より事業所側の視点に立った内容となっています。特に、報酬改定前後のタイミングでは多数のQ&Aが発行されますので、必ずチェックしましょう。

常に変化し続ける介護保険制度。解釈通知を確認し、正しく理解することは、事業所運営に欠かせない重要なポイントです。

解釈通知を最速で確認する2つの方法

少しでも早く解釈通知は確認しておきたい。解釈通知を最速で確認する方法を2つ、紹介します。

1. 厚生労働省の介護保険最新情報(ウェブサイト)をチェックする

ひとつは、厚生労働省の介護保険最新情報をチェックすることです。

厚生労働省では介護保険事業所向けに、介護保険最新情報という情報を適宜リリースしています。解釈通知だけでなく、調査研究の依頼や厚生労働省主催の研修開催案内なども掲載されています。

新着の介護保険最新情報は厚生労働省のウェブサイト上に掲載されます。最も早く確認できるのが厚生労働省のウェブサイトです。また、市区町村の介護保険担当窓口から介護保険事業所宛のメールサービスなどで配信されますので、必ずチェックしましょう。

2. 官報を確認する

もうひとつは官報を確認する方法です。

官報には制度や解釈通知の変更が掲載されます。ただし、官報にすべての情報が掲載されているわけではありません。あくまで補助的に活用することをお勧めします。

解釈通知の役割は独自解釈を防ぐこと|正しく理解し適切な運営を

解釈通知は介護保険サービスを提供するにあたって、それぞれの事業者が自分勝手の解釈で運用することを防ぐためにあります。事業所全体が解釈通知の内容を正確に理解することで、法令を守りつつ、利用者へのサービスの質を向上し、経営を安定化することができます。

常に新しい情報を確認し、解釈通知の内容に基づいた事業所運営を心がけましょう。

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