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【令和6年度改定】特定事業所加算を重度訪問介護で算定するための要件とは?

元山 ゆず香

監修者

介護福祉士

元山 ゆず香

大学を卒業後、特別養護老人ホームにて現場業務に従事。その後、福祉系大手企業に入社し、エリアマネージャーとして、施設介護事業・居宅介護事業・障害福祉サービス事業でのエリアマネジメント・行政対応を経験。また、法人本部に異動し教育部門・監査担当部門の部長を歴任。現在は全国の介護・障害福祉事業所の支援やセミナーの開催、DXO株式会社での介護関連事業の支援などを実施。

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重度訪問介護を受け入れる事業所によっては重要な加算の一つであるのが特定事業所加算です。重度訪問介護における特定事業加算とは、他の特定事業所加算と同じく質の高い介護サービスを提供し、算定要件を満たす運用を実施している事業所に対して支払われる加算です。

重度訪問介護の対象になる方は重度の肢体不自由、または行動に困難を生じる障害者の利用者、常時介護を要する方が対象になります。施設から地域生活に移行している現代では、重度介護者の受け入れを推進していくことが必要不可欠です。

そのためには事業所が重度介護者を受け入れる体制を作る必要があり、特定事業所加算はその助けにもなる加算になります。この記事では重度訪問介護の特定加算について解説をしており、令和6年度の報酬改定についても詳しく記載をしています。気になる方は、ぜひ参考にしてみてください。

【特定事業所加算】重度訪問介護の4つの改正ポイント

令和6年度の報酬改定のうち、重度訪問介護にも改定がありました。

下記の項目が令和6年度の重度訪問介護の4つの改定事項になります。

  • 基本報酬の引き上げ
  • 入院中の重度訪問介護利用の対象拡大
  • 入院時支援連携加算の新設
  • 熟練従業者による同行支援の見直し

以下では、それぞれの改定事項について詳しく解説をしていますので、ぜひ参考にしてみてください。

1. 基本報酬の引き上げ

障害福祉サービス事業は毎年の小改定と3年に1度の大改定があります。令和6年は大改定の年にあたり、重度訪問介護の基本報酬も全区分で引き上げがありました。

表でまとめていますので参考にしてみてください。

所要時間

改定後

令和6年4月1日から

改訂前

令和6年3月31まで

1時間未満

186単位

185単位

1時間以上 1時間30分未満

277単位

275単位

1時間30分以上 2時間未満

369単位

367単位

2時間以上 2時間30分未満

461単位

458単位

2時間30分以上 3時間未満

553単位

550単位

3時間以上 3時30分未満

644単位

640単位

3時間30分以上 4時間未満

736単位

732単位

4時間以上 8時間未満

821単位に4時間から30分ごとに+85単位

817単位に4時間から30分ごとに+85単位

8時間以上 12時間未満

1505単位に8時間から30分ごとに+85単位

1497単位に8時間から30分ごとに+85単位

12時間以上 16時間未満

2184単位に12時間から30分ごとに+81単位

2172単位に12時間から30分ごとに+80単位

16時間以上 20時間未満

2834単位に16時間から30分ごとに+86単位

2818単位に16時間から30分ごとに+86単位

20時間以上 24時間未満

3520単位に20時間から30分ごとに+80単位

3500単位に20時間から30分ごとに+80単位

2. 入院中の重度訪問介護利用の対象拡大 |障害支援区分4以上へ変更

入院中に特別なコミュニケーション支援をおこなうための障害者区分についても変更がありました。変更になった区分は重度訪問介護利用者の対象の拡大です。拡大前は障害者区分支援6のみでしたが、障害支援区分が4、5、6の障害者に変更となりました。

3.【新設】入院時支援連携加算

入院前に医療と医療福祉が連携しておこなった支援が、入院中の重度訪問介護利用について役立ったか評価する加算です。1回を限度に月に300単位が加算されます。

4. 熟練従業者の同行支援の見直し

障害者支援区分6の利用者に対して、熟練した従業者が同行して支援をおこなった場合に、それぞれの従業者がおこなう重度訪問介護につき、所要時間120時間以内に限り、所定単位数の100分の90に対する単位数を算定する。

重度訪問介護で特定事業所加算を取得するための11要件と加算別条件

1. 7つの体制要件|(Ⅰ)~(Ⅲ)で満たすべき要件

  1. 全ての介護職員に対する計画的な研修計画を作り、実施している
  2. 利用者に関する情報やサービス提供の会議を定期的に開催する
  3. サービス提供責任者が利用者の情報を担当介護職員に伝達すること
  4. 全介護職員に対して定期的に健康診断を実施する
  5. 利用者の緊急時における対応方法を明示すること
  6. 熟練した従業者による同行研修の実施
  7. 朝から深夜にかけて、全ての時間帯のサービスを提供を実施できること

2. 3つの人材要件|(Ⅰ)はすべて、(Ⅱ)は一部満たすべき要件

  1. 介護福祉士の割合が30%以上であること、または介護福祉士、実務者研修、介護職員基礎研修の職員の割合が50%以上従事していること。
  2. 全てのサービス提供責任者が3年以上の実務経験を有する介護福祉士、5年以上実務経験を有する実務者研修修了者、介護職員基礎研修であること
  3. 1人を超えるサービス提供責任者を配置することとされている事業所では、常勤のサービス提供責任者を2名以上配置すること

3. 重度障害者対応要件|(Ⅰ)および(Ⅲ)で満たすべき要件

前年度または算定日の月の前3ヵ月間における指定居宅介護の利用者の総数のうち障害者区分5以上である者および、たん吸引を必要とする者の占める割合が50%以上であること。

居宅介護における特定事業所加算との違い

居宅介護における特定事業所加算との大きな違いは下記になります

  • 日中だけでなく、朝や夜、深夜帯を含めた全ての時間帯のサービスを実施している実績がある
  • 伝達や報告は月に1回以上でサービス提供ごとでなくてもかまわない
  • 重度者の割合は半数以上でなくてはならない
  • 加算Ⅳがない
  • 重度障害児への対応

この5点が居宅介護と特定事業所加算との違いになります。特に注意が必要なことは、運営規定において全ての時間帯でサービス提供が可能になっていることです。

土日や祝日、お盆や年末年始など年間や時間帯を問わずに訪問介護員の派遣が必要になり、サービスを提供できない場合は加算の取り下げをしなければならないので注意が必要になります。

特定事業所加算を重度訪問介護で取得するには要件を丁寧に確認しましょう

重度訪問介護は重度の障害者を支える地域、これから訪れる高齢化社会において、重要な介護支援の一つです。

特定事業所加算は事業所にとっては収益を増やせるだけでなく、訪問介護事業所で働く訪問介護員がより質の高い支援を提供できている証にもなります。

しかし、特定事業所加算の取得した後も状態を維持する必要があるので、厚生労働省や自治体が提示している算定要件は常に確認しておくことも大事です。

人材要件や重度介護者対応要件では、特定のスタッフや利用者を一定以上配置することや割合も多く決められていて、常に定められた割合を維持しないと要件の達成はできません。

事業所が高い評価を得るためにも、特定事業所加算の取得は重要な取り組みの一つになりますので介護報酬の改定等での要件変更は丁寧に欠かさず確認をしておくことが大切です。

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