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訪問介護を運営してる事業所が特定事業所加算を算定する際には、複数の算定要件を満たさなければいけません。数ある算定要件の中でも、特に重要な要件が「文書による指示・報告」です。
この記事では、文書による指示・報告が重要な理由と注意点についてわかりやすく解説します。特定事業所加算を算定しようと考えている方は、ぜひご一読ください。
特定事業所加算には(Ⅰ)〜(Ⅴ)の5種類があり、それぞれ算定要件と加算率が異なります。特定事業所加算の算定要件は14項目あり、自事業所の状況等を考慮しながら、算定要件を満たす特定事業所加算を取得します。
14項目ある算定項目の中でも「利用者情報の文書等による伝達、訪問介護員等からの報告」は、全ての特定事業所加算で求められる要件です。特定事業所加算の全容や詳しい算定要件については、以下の記事で解説しています。詳しくはこちらをご参照ください。
【令和6年最新版】訪問介護における特定事業所加算の算定要件とは
東京都福祉局の資料「特定事業所加算の算定要件」によると、文書等による指示・報告が必要な情報の例として、以下の5つの情報を挙げています。
ここでは、各情報について、具体的に記載すべき内容や、記録する際の注意点などについて解説します。
訪問介護では、ADLを自力でおこなえない利用者に対して訪問介護サービスを提供することも多いでしょう。そこで、訪問介護利用者のADLの状況を記録し、訪問介護員全員で共有しておくことが重要です。
例えば、利用者のADLや意欲について情報共有できていなかった場合、訪問介護員ごとに介助方法が大きく異なってしまうかもしれません。同じ利用者に対して毎回異なる介助方法を実施すると、利用者や訪問介護員への負担が増大し、転倒などの事故につながる可能性もあります。
サービスの品質向上や転倒事故予防のためにも、ADL動作の能力や意欲に関する情報を文書で記録して共有できるようにしておきましょう。
訪問介護サービスを提供するうえで、利用者の訴えやサービス提供時の要望などは貴重な情報です。
訪問介護サービスは、利用者の在宅生活を支援するために実施されなければいけません。そのためには、普段の生活でどのようなことに困っているのか、サービス提供時にどのようにサポートして欲しいのか、といった本人の要望を確認する必要があります。
例えば、訪問介護サービスとして、入浴支援をおこなっていたとします。通常は、洗髪をしてから浴槽へ入っていたのですが、利用者から「寒くなったので先に浴槽に入りたい」と要望があったとします。利用者の要望を文書に記録し忘れたことで、その後も浴槽に入るのを後回しにしていました。それによって利用者が体調を崩してしまった場合、事業所への信頼を失うきっかけになるかもしれません。
利用者のちょっとした言動や要望が、事故やトラブルを未然に防ぐきっかけになることもあります。利用者の訴えや要望は文書に記録して報告しましょう。
訪問介護サービスは、利用者が住む生活環境においてサービスを提供しなければいけません。そのため、利用者の情報だけでなく家族や生活背景に関する情報を知っておく必要があります。
例えば、利用者が家族と同居していた場合、同居家族に関する情報や自宅内でのルールなどの情報は重要です。家族を含む利用者の環境を把握しておかなければ、利用者の家族やその関係者とトラブルが発生する可能性もあるでしょう。
家族を含んださまざまな情報を共有しておくことで、今後発生する可能性のあるトラブルを未然に防ぐこともできます。
サービス提供前に家族を含む環境に関する情報を文書にまとめ、各訪問介護員に指示を出しておきましょう。
訪問介護サービスを提供した際には、サービス提供時の情報を文書に記録しておく必要があります。
訪問介護サービスでは、1人の利用者に対して複数の訪問介護員がサービスを提供する場合もあります。その際に、前回のサービス提供時の情報が重要です。
原則として、訪問介護サービスを提供するごとにサービス提供の記録を残す必要があります。さらに、記録の内容についても毎回「変化なし」といった記録ではいけません。細かい変化を見逃さず、その日の状況を正確に記録することが大切です。
特定事業所加算を算定している事業所が文書による指示と報告を実施する場合、原則として、サービス提供の前後に毎回実施する必要があります。
サービス提供責任者からの指示を出す具体的なタイミングは、サービス提供前の時点です。担当の訪問介護員に、前回のサービス提供時の状況を踏まえた留意事項などを伝達しましょう。
一方、訪問介護員の報告については、サービス提供時の状況や利用者の要望などをサービス提供後すぐに報告する必要があります。
サービス提供責任者が不在の場合などの例外を除いて、文書等による指示・報告は、サービス提供時に毎回実施しなければいけません。基本的には、まとめて指示を出したり、一括で報告したりといったことができないため注意しましょう。
訪問介護サービス提供後の報告では、サービス提供時の状況をできるだけ具体的に記載しましょう。
頻繁に訪問介護サービスを利用している方の場合、前回のサービス提供時から大きな変化が見られない場合もあるでしょう。しかし、毎回「変化なし」と記載していると、運営指導時に注意される可能性もあります。
サービス提供後の報告は、細かい変化を見逃さず、できるだけ具体的に記載しなければいけません。介護記録をする際には、以下のポイントを意識して情報をまとめるとよいでしょう。
介護記録を書く際のポイント |
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訪問介護サービス提供時には、毎回文書による指示と報告が必要です。しかし、サービス提供責任者が長期間不在になる場合もあるでしょう。その場合は、不在期間中の指示を一括で出し、その期間中の報告を一括で受け取ることも可能です。
例えば、サービス提供責任者が長期間の出張にいかなければいけない場合もあるでしょう。その際には、出張前にあらかじめ文書による指示を出しておき、出張から帰ってきた際に出張期間中のサービス提供報告を確認しても問題ありません。
ただし、サービス提供責任者が不在であった理由などの記録は必要です。サービス提供責任者不在により一括で指示と報告をおこなった際には、その理由まで確実に記録しておきましょう。
特定事業所加算を算定する際には、文書による指示・報告を実施しなければいけませんが、具体的な様式については提示されていません。そのため、具体的な様式事例を知りたい訪問介護経営者も多いでしょう。
ここでは、自治体が独自に出している事例をもとに、指示・報告の様式事例をご紹介します。自事業所で様式を作成する際にご利用ください。
引用:豊中市「訪問介護事業における特定事業所加算に係る留意事項について 」
利用者ごとに上記の記録様式を作成し、サービス提供の前後でサービス提供責任者と訪問介護員の間で指示・報告をおこないます。
各事業所の運営状況に応じて細かい変更は可能ですが、記載すべき情報は上記の様式を参考にするとよいでしょう。
文書による指示・報告は、特定事業所加算を算定する際に必須となる要件ですが、細かいルールも多いため正しく理解しておく必要があります。運営指導時に注意を受けないように、算定前に細かいルールを確認しておきましょう。
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