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訪問介護の運営指導(実地指導)とは?当日の流れや必要書類を解説

元山 ゆず香

監修者

介護福祉士

元山 ゆず香

大学を卒業後、特別養護老人ホームにて現場業務に従事。その後、福祉系大手企業に入社し、エリアマネージャーとして、施設介護事業・居宅介護事業・障害福祉サービス事業でのエリアマネジメント・行政対応を経験。また、法人本部に異動し教育部門・監査担当部門の部長を歴任。現在は全国の介護・障害福祉事業所の支援やセミナーの開催、DXO株式会社での介護関連事業の支援などを実施。

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運営指導とは、事業所の運営や報酬請求の状況、高齢者の尊厳の保持などに関する理解と取り組みなど、行政が定期的におこなう助言、指導をおこなうことにより、保険給付の適正化や利用者の自立支援に資するサービスの質の確保と向上を図ることを目的にしています。しかし、数年に1回しか実施されないため、指導内容や必要書類などについて心配する経営者も多いでしょう。

この記事では、訪問介護の運営指導時における必要書類や注意事項について解説します。

運営指導と実地指導の違いは?

もともと運営指導は「実地指導」と呼ばれていました。そのため、現在でも運営指導のことを「実地指導」と呼んでいる方もいるでしょう。

実地指導の詳細を知りたい方は下記記事を参考にしてください。
実地指導とは?監査との違いや引っかかるケースを徹底解説!

運営指導はおおよそ6年に1回実施される

運営指導は、原則として指定または許可の有効期間内に少なくとも1回以上実施します。訪問介護事業所の場合は、指定期間が6年となるため、おおよそ6年に1回以上の頻度で実施されると理解しておきましょう。

ただし、地域の状況や必要性などに照らし合わせて、実施回数を増やす場合もあります。例えば、新規事業の開業後、報酬改定によって大幅な変更がおこなわれた後などのタイミングが挙げられます。

居住系サービスや施設サービスの場合は、3年に1回以上の頻度で実施されるため、隣接する施設を運営している場合は注意しておきましょう。

運営指導の流れ

運営指導は、指導実施の通知・事前資料の提出・運営指導の実施・指導結果の通知という4つのステップで実施されます。それぞれ、どのような流れで実施されるか解説します。

1.指導実施の通知

運営指導を実施する場合、原則1ヵ月前までに事業所に事前通知が届きます。事前通知には、運営指導の目的や根拠法令などが示されています。通知に記載される内容については以下の通りです。

【通知内容】

  • 運営指導の根拠規定及び目的
  • 運営指導の日時及び場所
  • 指導担当者
  • 介護保険施設等の出席者(役職名で可)
  • 準備すべき書類等
  • 当日の進め方、流れ等(実施する運営指導の形態、スケジュール等)

引用:厚生労働省「介護保険施設等運営指導マニュアル」

原則として、運営指導は施設・事業所への通知は1ヵ月前までに事前通告をおこなってから実施することとなっていますが、緊急時などに速やかな状況確認が必要となった場合は、事前通知をおこなわずに運営指導を実施する場合もあるため注意しましょう。

2.事前資料の提出

運営指導を実施する場合、運営指導前に事前資料を提出する必要があります

以下に運営指導で確認される書類の中から事前提出を求められる可能性のある書類をピックアップします。実際に事前提出を求められる書類は自治体ごとに異なる場合もあるため注意しましょう。

訪問介護の事前提出書類例

  • 重要事項説明書(利用申込者又は家族の同意があったことがわかるもの)
  • 利用契約書
  • 勤務体制一覧表
  • 訪問介護員等の資格証
  • 管理者の雇用形態が分かる文書
  • 緊急時対応マニュアル
  • 運営規程
  • 研修計画、実施記録
  • 業務継続計画
  • 研修及び訓練計画、実施記録
  • 感染症及び食中毒の予防及びまん延防止のための対策を検討する委員会名簿、委員会の記録
  • パンフレット/チラシ

参考:厚生労働省「確認項目及び確認文書」

3.運営指導の実施

運営指導は立入検査ではなく、必要かつ的確な行政指導をおこなうことを目的に、事業所の任意協力によって実施されます。

自治体の方針や事業所の状況等によって運営指導当日の流れが変更される場合もありますが、原則として下記の流れに従って運営指導が実施されます。以下で「太田市の運営指導当日における流れの概要」をまとめますので参考にしてください。

  1. あいさつ及び説明
    運営指導の根拠法令、各担当者の自己紹介及び役割分担、当日の流れの説明、終了予定時刻、運営指導結果についての留意事項等について説明があります。
  2. 事業所内見学
    設備基準、掲示物等の確認のため、必要に応じて事業所内を見学されます。
  3. 書類審査及びヒアリング
    関係書類の審査と担当職員へのヒアリングがおこなわれます。
  4. 講評
    運営指導当日に確認できた状況について公表します。なお、正式な運営指導結果については、後日文書により通知されます。

4.指導結果の通知

運営指導後、各自治体から指導結果の通知が届きます。指導の結果は、文書指導、口頭指導、助言という3つの種類があり、それぞれ指摘された事項に対して運営方法を改善しなければいけません。

指摘内容によっては、後日改めて書類の提出を求められる可能性もあります。仮に、運営指導後も改善が確認できない場合は、指導監査に切り替えて施設に行政調査が入る場合もあります。必要書類の提出を求められた場合には、速やかに必要書類を提出しましょう。

訪問介護の運営指導では何が確認される?

訪問介護の運営指導で確認される事項は、大きく「個別サービスの質に関する事項」と「個別サービスの質を確保するための体制に関する事項」の2つに分類されます。それぞれ5つの事項を以下にまとめます。全て確認したい方は引用の資料を参考にしてください。

個別サービスの質に関する事項

  • 利用申込者又はその家族への説明と同意の手続きを取っているか
  • 重要事項説明書の内容に不備等はないか
  • サービス担当者会議等に参加し、利用者の心身の状況把握に努めているか
  • サービス担当者会議等を通じて介護支援専門員や他サービスと連携しているか
  • 居宅サービス計画に沿ったサービスが提供されているか

個別サービスの質を確保するための体制に関する事項

  • 利用者に対し、訪問介護員等の員数は適切であるか
  • 必要な資格は有しているか
  • 管理者は常勤専従か、他の職務を兼務している場合、兼務体制は適切か
  • 被保険者資格、要介護認定の有無、要介護認定の有効期限を確認しているか
  • 利用者からの費用徴収は適切に行われているか

引用:厚生労働省「確認項目及び確認文書」

まとめ:訪問介護の運営指導では加算関係の書類に注意

今回は、訪問介護における運営指導時の注意点について解説しました。運営指導は、介護サービス事業所が適切に運営できるようにサポートする目的で実施されます。

訪問介護の運営指導は、おおよそ6年に1回以上の頻度で実施されます。ただし、介護報酬改定の状況や各事業所の変化によっては6年に1回以上実施される場合もあるため注意しましょう。

運営指導時には、数多くの確認書類がありますが、可能であれば厚生労働省の自己点検シートなどを活用して普段から書類を確認しておくことをおすすめします。普段から必要書類を準備しておくことで、運営指導時にも落ち着いて対処できるでしょう。

特に、介護報酬改定でルールが変更された箇所には注意が必要です。報酬改定で変更された加算については、重点的に確認しておくことをおすすめします。

お役立ち資料:運営指導対策にお悩みの方に

運営指導(実地指導)で確認される重要な25種類の書類について、わかりやすくチェックリストとしてまとめました。
運営指導に不安がある方はぜひご利用ください。
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