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実地指導は緩和された?指針通知後の実際と落とし穴!

元山 ゆず香

監修者

介護福祉士

元山 ゆず香

大学を卒業後、特別養護老人ホームにて現場業務に従事。その後、福祉系大手企業に入社し、エリアマネージャーとして、施設介護事業・居宅介護事業・障害福祉サービス事業でのエリアマネジメント・行政対応を経験。また、法人本部に異動し教育部門・監査担当部門の部長を歴任。現在は全国の介護・障害福祉事業所の支援やセミナーの開催、DXO株式会社での介護関連事業の支援などを実施。

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こんにちは!プロサポニュース部です!

弊社は訪問介護事業所のご支援をしているということもあり、多くのご質問を頂くのですが、よく聞かれるのが「実地指導」のお話です!令和元年に示された実地指導の運用指針で、標準確認資料が明記されたことから「緩和された」と捉える方も多くいらっしゃいました。

本記事は、「運用指針が示された後の実地指導は本当に緩和されているか」「標準確認項目以外見ないのか」をお伝えしていきます。

追記

本記事では令和元年の実地指導の標準化・効率化等の運用指針についてまとめております。令和6年改訂の「訪問介護の運営指導(実地指導)」に関しては下記記事を参考にしてください。

訪問介護の運営指導(実地指導)とは?当日の流れや必要書類を解説

介護保険施設等に対する実地指導の標準化・効率化等の運用指針について

令和元年5月29日に、厚生労働省から自治体へ介護保険施設等に対する実地指導の標準化・効率化等の運用指針が示されました。

それまで全国の自治体毎に指導の内容や確認項目・確認文書に様々な差異が生じているとともに、一部の自治体においては実地指導の実施が低調な状況があることから、厚生労働省が標準化を求めて示したものです。

 参考:厚生労働省「介護保険施設等に対する実地指導の標準化・効率化等の運用指針について」

実地指導の標準化・効率化等の運用指針の概要

実地指導の標準化・効率化等の運用指針(以下運用指針)には標準確認項目標準確認書類が明記され、標準確認資料以外は原則求めないと示されている。

また運用指針には8つの項目があり、対象サービスを訪問介護、通所介護、介護老人福祉施設、居宅介護支援事業所、 認知症対応型共同生活介護、介護老人保健施設、訪問看護と限定しています。

運用指針の8項目

  1. 実地指導の標準確認項目等 
  2. 実地指導の所要時間の短縮 
  3. 実地指導の頻度 
  4. 同一所在地等の実地指導の同時実施 
  5. 関連する法律に基づく指導・監査の同時実施 
  6. 運用の標準化 
  7. 実地指導における文書の効率的活用
  8. 留意事項

運用指針には、この8つの項目に記された運用指針と、別紙として標準確認項目・標準確認資料が用意されています。それでは、さっそく読み解いていきましょう!

運用指針の項目別ポイント

1.実地指導の標準確認項目等

  • 「標準確認項目」と、それを確認するための「標準確認文書」に基づいて実地指導を行うこと
  • 不正が見込まれる等の悪質な場合は監査に切り替えること

7事業以外のサービスは、この通知を参考に別途自治体で定めることとなっており、原則的に標準項目で定める項目以外は特段の事情が無ければ確認しないと明記されています。

2.実地指導の所要時間の短縮 

  • 実地指導時間を短縮し、1日に複数事業所の実施を行う等、出来る限り多くの事業所に対し実施すること

1事業所に対し1日かけて実施をしていた自治体は、2事業所に対し午前・午後の2回に分けて実施をする等、工夫をして出来るだけ多くの事業所へ実施し、自治体が年間に行う実地指導の回数を増やすことが示されています。

ところが実際には、1日かけて行っている自治体も存在していますので、必ずしもこの通りになっているとは言えません。

3.実地指導の頻度 

  • 指定有効期間に1回以上実施すること、また事業運営に支障がない場合は集団指導のみとすることも可能

6年の指定有効期間に1回以上実施することが明記されており、約6割程度の自治体が新規開設または指定更新の年に実施しています。

また、一部の自治体では、必ず3年に1回実施すると設定している所も有ります。

集団指導だけで終わるのではないか?と期待されていた方もいらっしゃいましたが、残念ながら集団指導を行わない自治体も未だに多く存在しています。

4.同一所在地等の実地指導の同時実施 

  • 近隣事業所や同一事業所を同日、連日に実施し効率化を図ること

居宅介護支援や訪問介護の併設事業所、居宅介護支援や通所介護の併設事業所は、自治体から複数人が来て同日に実施するというパターンが多いです。

また、1つの事業所に実地指導が入ると、近日中に同サービスの近隣事業所にも実施されているという事があります。指定更新や新規指定以外で実地指導に入るケースでは、この「近隣事業所を一気に実施する」というパターンが多い様です。

5.関連する法律に基づく指導・監査の同時実施 

  • 関連法令に基づく指導・監査を出来るだけ同日・連日で実施すること

障がい者総合支援法や、生活保護法等、関連する法律のサービスは自治体内の担当者同士で調整し、出来るだけ同日・連日で実施することとされています。

障がい者総合支援法の居宅介護・同行援護・重度訪問介護を併設している事業所や、総合事業の併設が有る場合はこれに該当します。

6.運用の標準化 

  • 指導通知は1か月前に当日の流れとともに通知すること
  • 居宅介護支援は1人の職員あたり2名程度の利用者の書類を確認すること
  • 自治体は3名以内で実施すること

実地指導の実施通知は多くの自治体で1か月以上前に郵送している様です。
ただし、多くの自治体では事前提出資料を求めており、この提出期限は14日前がほとんどですので、実質の準備期間は14日と捉えたほうが良さそうです。

また、実地指導を担当する自治体職員は3名以内とされていますが、4名で来られる自治体もあります。複数サービスを併設している事業所は、サービスごとに3名ずつ来られる事もあります。

7.実地指導における文書の効率的活用 

  • 前年度から直近の実績に係る書類とすること
  • 事業所に事前又は指導の当日提出を求める資料の部数は 一部とすること

書類の確認期間は前年度から当日まで、または直近2年とされている自治体が多いようです。

実地指導当日に確認事項が増えることが多々ありますので、書類保管期間(2年または5年)の条例を確認の上、保管期間分はすぐに出せる状態にしておいた方が良いでしょう。

8.留意事項

  • 担当職員の主観による指導や前回の指導と大きく異なる指導をしないこと
  • 好事例は積極的に評価すること
  • 経営する法人の労務・会計等の担当者が同席することは問題ない

実地指導は管理者の指導のために行うものであるため、管理者以外の同席は必要ないとしている自治体もありましたが、事情に詳しい者の同席が認められることとなりました。

また、自治体では1年に1回の部署異動があるため、前回の実地指導と異なる指導を受けることもありますが、これが無いようにと明記されています。

 参考:厚生労働省「介護保険施設等に対する実地指導の標準化・効率化等の運用指針について」 

運用指針の落とし穴

運用指針の落とし穴、それは以下の通りです。

介護報酬指導についての記載がなく、人員基準・運営基準に限定している。

運営指針の範囲は人員基準・運営基準のみであり、「介護報酬」については何も定めていないです。

このことから、運営指針が示された後の実地指導も従来と変わらず、平成22年3月に発行された介護保険施設等実地指導マニュアルから変更は有りません。

  • 介護報酬が適切に算定されているか
  • 加算の要件を満たしているか

また、運営指針の最後には「今後、この運営指針を示した後にアンケート等の調査を経て平成22年3月に示されたマニュアルも見直す予定です」と書かれています。

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